ご相談をいただいたとき、「作らないほうがよい」とお伝えすることがあります。
既製の SaaS で足りるなら、そのほうが安く、速く、確実だからです。
判断の順序を整理します。
順序1:SaaS で足りないか
まずここを確認します。会計、勤怠、顧客管理、予約、EC。
汎用的な業務は、たいてい良い SaaS が存在します。
SaaS の利点は費用だけではありません。
- 法改正への対応が自動(インボイス、電子帳簿保存法など)
- セキュリティ更新が自動
- 障害対応は提供元が行う
- 明日から使える
自社開発だと、これらを全部自分で持つことになります。
順序2:SaaS を「業務に合わせて」使えないか
「機能が足りない」と感じても、次で解決することがあります。
- 設定・カスタム項目で対応できないか
- 複数の SaaS を連携して使えないか
- 業務側の手順を変えるほうが早くないか
3つ目が重要です。SaaS に合わせて業務を少し変えるだけで済むなら、
開発費をかける必要はありません。
順序3:それでも作る価値がある条件
次のいずれかに当てはまるとき、開発する価値が出ます。
1. その業務が競争力の源泉である
他社と同じやり方では差がつかない中核業務。
ここを既製品に合わせると、強みそのものを捨てることになります。
2. 業務の形が特殊で、既製品が存在しない
業界固有の商習慣、独自の承認フロー、特殊な計算。
無理に SaaS に合わせると、Excel での二重管理が発生します。
3. 複数のツールをまたいだ二重入力が発生している
同じ情報を2回入力している状態は、
統合すると効果が大きく、かつ費用対効果が計算しやすい領域です。
4. SaaS の月額が積み上がって、開発費を超える
50人 × 月2,000円 × 3年 = 360万円。
この規模になると、作るほうが安いことがあります。
ただし保守費用を含めて比較する必要があります。
費用の比較は3年で
SaaS : 月額 × 36ヶ月 + 初期設定
自社開発 : 開発費 + 保守費 × 36ヶ月 + サーバー費
自社開発の側に保守費を入れ忘れるのが典型的な失敗です。
作って終わりではなく、動かし続ける費用が必ずかかります。
折衷案:SaaS + 隙間だけ開発
実務でよく採るのはこの形です。
会計・勤怠 → SaaS
顧客管理 → SaaS
独自の見積作成 → 開発(SaaSとAPI連携)
全部作る必要はありません。 足りない部分だけ作り、
既製品とつなぐほうが、費用も保守範囲も小さくなります。
まとめ
- まず SaaS で足りないかを確認する
- 設定・連携・業務側の調整で解決できないかを検討する
- 競争力の源泉/特殊な業務/二重入力/費用逆転 のいずれかで開発を検討
- 比較は3年、保守費込みで
- 全部作らず、足りない部分だけ作る選択肢を持つ
ご相談の段階で、この整理からお手伝いしています。