発注ガイド

開発の見積書をどう読むか — 「人月」の意味と、確認すべき前提

「この見積もりは妥当ですか」というご相談をよくいただきます。
金額そのものより、前提条件を読むことで判断できます。

人月とは何か

1人月 = 技術者1人が1ヶ月働く量

単価は担当者の経験や役割で変わります。
見積書に「3人月」とあれば、1人で3ヶ月、または3人で1ヶ月という意味です。

ここで注意すべき点があります。

人を増やしても、比例して速くはならない

1人 × 6ヶ月 ≠ 6人 × 1ヶ月

人を増やすと、情報共有と調整の手間が増えます
3人で分担すると、コミュニケーション経路は3本。6人なら15本になります。

そのため、「急ぎなので人を増やして半分の期間で」という依頼は、
費用が増えるだけで期間が短くならないことがよくあります。

見積もりで「短期間 × 大人数」の提案が来たら、
どう分担するのかを聞いてみるとよいです。

金額を左右する前提

見積書の金額より、こちらのほうが重要です。

1. 仕様の確定度

要件が固まっていない状態の見積もりは、必ず幅があります。
「仕様変更は都度お見積り」と書かれている場合、
最終金額は提示額より大きくなる前提で考えます。

2. 含まれる工程

要件定義 → 設計 → 実装 → テスト → 移行 → 教育 → 保守

このうちどこまでが含まれるか。
テストと移行が抜けている見積もりは、後から必ず追加されます。

3. 誰が作業するか

「弊社エンジニアが担当」と書かれていても、
実際には再委託されることがあります。契約書で確認できる項目です。

4. 前提として書かれている条件

※ デザインは支給いただく前提
※ サーバーは貴社ご準備
※ 既存システムの仕様書が存在する前提

この「※」が金額を大きく動かします。
支給できない場合の追加費用を先に聞いておきます。

極端に安い / 高い場合

安い場合、次のどれかであることが多いです。

  • 要件を小さく解釈している(後から追加)
  • 保守契約で回収する前提
  • 経験の浅い担当者が付く
  • 効率化の仕組みを持っている(正当な理由)

安い理由を聞いて、4つ目のような具体的な説明があるかどうかで判断します。

高い場合も理由があります。

  • 大人数の体制費(PM、リーダー、担当者の階層)
  • 品質保証の工程が厚い(大規模・ミッションクリティカル向け)
  • リスクを見込んだ余裕

規模に対して体制が過剰でないかを見ます。

聞いてよい質問

見積もりを受け取ったら、次を聞くことをおすすめします。

  1. この金額に含まれない作業は何ですか
  2. 前提条件が満たせない場合、いくら増えますか
  3. どういう体制(何人・どの役割)を想定していますか
  4. 仕様変更が発生した場合の算定方法は
  5. 検収の基準は何ですか

答えられない、あるいは曖昧な場合は、
見積もり自体の根拠が薄い可能性があります。

まとめ

  • 人月は「量」であって、人を増やしても比例して速くはならない
  • 金額より前提条件(仕様の確定度・含まれる工程・※の条件)を読む
  • 安い・高いには理由がある。具体的な説明があるかで判断する
  • 5つの質問で、見積もりの根拠を確認できる
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