AI・生成AI

要件定義に生成AI を使う — 使える場面と、使ってはいけない場面

要件定義に AI を使う相談が増えました。
加速できる部分と、代替できない部分がはっきりしているので整理します。

使える場面

1. 抜け漏れのチェック

作った要件一覧に対して「不足している観点は?」と聞くのは有効です。

例:注文機能の要件を書いた
 → 「キャンセル」「返品」「部分出荷」「在庫切れ時の挙動」
    「消費税率の変更」などが指摘される

自分が考えていない角度を出してもらう用途は、精度が高いです。

2. 用語の整理

同じものが「顧客」「取引先」「クライアント」と呼ばれている状態を整理する。
用語集の初版を作るのに向いています。

3. 画面一覧・項目一覧の下書き

業務の説明から、必要な画面と項目の候補を出す。
ゼロから書くより、直すほうが速いので有効です。

4. 想定質問の準備

顧客との打ち合わせ前に「この要件で確認すべきことは?」と聞くと、
聞き漏らしが減ります。

5. 文書の整形

箇条書きのメモを、読める要件定義書の形に整える。

使ってはいけない場面

1. 顧客の実際の業務を知らずに要件を作る

これが最大の落とし穴です。
AI は一般的な業務の要件を出しますが、
実際の顧客は必ず固有の事情を持っています。

一般的な受注業務の要件 → もっともらしい
実際の顧客            → 「うちは電話とFAXが8割」

現場を見ずに作った要件は、必ずズレます。

2. 優先順位の決定

何を先に作るかは、その事業の状況で決まります。
予算、時期、社内の力関係、競合の動き。
外から見えない情報が判断を左右します。

3. 顧客に提示する文書をそのまま出す

生成された要件定義書は、読むと立派に見えます。
そのまま出すと、顧客が「専門家が検討した結果」だと受け取ります
実際には一般論である場合、後で大きな問題になります。

実際の使い方

私は次の順で使っています。

1. 顧客に話を聞く(ここは自分でやる)
2. メモを整理する
3. AI に「不足している観点は?」と聞く
4. 出てきた観点のうち、この顧客に関係するものを選ぶ  ← 判断は自分
5. 次回の打ち合わせで確認する
6. 確認できた内容だけを要件に入れる

4と6が要点です。出てきたものを全部入れると、
使われない機能の要件が膨らみます。

「聞くべきこと」を出すのが最も有効

要件そのものより、質問リストを作る用途が最も価値がありました。

・繁忙期と閑散期で業務量はどれくらい変わりますか
・現在この作業に何人が関わっていますか
・例外的な処理はどれくらいの頻度で発生しますか
・過去にシステム化を試みて、うまくいかなかったことはありますか

最後の質問が特に有効で、過去の失敗を聞くと本当の制約が見えます

検証の姿勢

生成された要件には、次を必ず確認します。

  • この顧客の業務に本当に当てはまるか
  • 実際に使う人に確認したか
  • 「あったら便利」と「無いと困る」を区別したか

まとめ

用途 適性
抜け漏れのチェック 高い
質問リストの作成 最も高い
用語整理・画面一覧の下書き 高い
文書の整形 高い
現場を見ずに要件を作る 不可
優先順位の決定 不可
そのまま顧客に提示 不可

聞くべきことを出すのに使い、聞いた結果は自分で判断する。
この線引きが、実務では最も機能しました。

試作1日

「こういうものを作りたい」の段階から、その日のうちに触れる画面をお出ししています。資料より先に、実物で判断できます。

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