発注ガイド

要件が固まっていない状態から開発を始める — 発注側が用意すべき3つのこと

「要件が固まっていないので、まだ相談できない」というお話をよくいただきます。
実際には固まっていない段階のほうが、良い形に持っていけることが多くあります。

要件を固めてから相談する難しさ

先に仕様を固めてしまうと、次のことが起こりがちです。

  • 技術的にはもっと簡単な代替案があったのに、気づけない
  • 実装コストの高い要件と安い要件が、区別されないまま並ぶ
  • 本当に必要な機能が、後から出てくる

費用の大部分は、実は数個の要件に集中しています。
それが分かるのは技術側なので、早い段階で相談したほうが総額は下がります。

用意していただきたい3つ

固まっていなくても、次の3つがあれば十分に話が進みます。

1. 解決したい困りごと(機能ではなく)

× 「顧客管理画面に検索機能を付けたい」
○ 「電話で問い合わせが来たとき、担当者を探すのに毎回5分かかっている」

困りごとで書いていただくと、より安く速い解決策を提案できます。
上の例なら、検索機能を作るより、着信時に自動で表示する仕組みのほうが早いかもしれません。

2. 今どうやっているか

現在の手順、使っているツール、実際のExcelやスプレッドシート。
これがあると、業務の流れがそのまま設計の材料になります。

「こういう項目を管理しています」という説明より、
実物のファイルを1つ見せていただくほうが、10倍正確に伝わります。

3. 予算の上限(概算で)

言いにくい部分だと思いますが、これが分かると提案の精度が上がります

100万円と300万円では、勧める構成がまったく違います。
上限が分からないと、外れた提案をして双方の時間を失います。

「まだ決まっていないが、100万円を超えると社内稟議が必要」
といった粒度で十分です。

進め方

実際には、こういう順で進めることが多いです。

1. 30分の相談        … 困りごとを伺う(無料)
2. 論点の整理        … 何が高くて何が安いかをお伝えする
3. 試作             … 最短即日〜数日で動くものをお見せする
4. 触って要件を決める … ここで初めて仕様が固まる
5. 見積もり・契約

3の試作が効きます。 画面を触ると、
「これは要らない」「ここが足りない」が一気に具体化します。
文書で仕様を詰めるより、遥かに速く正確です。

段階的に契約する

いきなり全体を契約する必要はありません。

  • 第1段階:調査・試作(小さい金額で区切る)
  • 第2段階:本開発(第1段階の結果を見てから判断)

第1段階の結果、「作らないほうがよい」という結論になることもあります。
既存のサービスで足りる、あるいは業務側の運用を変えるほうが早い、という場合です。
それも含めてお伝えするのが誠実だと考えています。

まとめ

要件が固まっていなくても、次の3つがあれば相談できます。

  1. 解決したい困りごと(機能名ではなく、困っている状況)
  2. 今どうやっているか(実物の資料が1つあると最良)
  3. 予算の上限(概算・条件付きで構いません)

仕様書は、作る前ではなく、試作を触った後に固めるほうがうまくいきます。