データ・分析

数字を「意思決定できる形」にする — レポート設計の考え方

「レポート機能が欲しい」という要望で作られたものの、
誰も見ていない画面をよく見かけます。差はどこにあるのかを整理します。

使われないレポートの特徴

  • 数字が正確だが、多すぎる
  • 期間の比較が無い(今月の売上だけ出ている)
  • 見た後に何をすべきか分からない

単独の数字には意味がありません。 比較対象があって初めて判断できます。

必ず比較を添える

今月の売上  ¥1,240,000

これだけでは良いのか悪いのか分かりません。

今月の売上  ¥1,240,000
            前月比 +12%  /  前年同月比 −5%  /  目標比 62%

比較の軸は3つあり、それぞれ意味が違います。

  • 前月比 … 直近の勢い(季節性の影響を受ける)
  • 前年同月比 … 季節性を除いた成長
  • 目標比 … 判断の基準

平均を出すときは分布も見せる

平均注文額 ¥8,400

一部の高額注文に引きずられている可能性があります。

平均 ¥8,400 / 中央値 ¥3,200 / 最頻値 ¥2,000

平均と中央値が大きく離れていたら、平均で語ってはいけません

内訳を出す

合計だけでは打ち手が決まりません。

売上 ¥1,240,000
  新規顧客   ¥380,000(31%)  ← 前月比 −22%
  既存顧客   ¥860,000(69%)  ← 前月比 +28%

これで「新規獲得に問題がある」という判断ができます。
合計が横ばいでも、内訳では大きく動いていることがよくあります。

異常を目立たせる

すべてを均等に表示すると、重要な変化が埋もれます。

def highlight(current, previous, threshold=0.2):
    if previous == 0:
        return "new"
    change = (current - previous) / previous
    if abs(change) >= threshold:
        return "up" if change > 0 else "down"
    return "normal"

閾値を超えた項目だけ色を付けると、目が自然にそこへ向かいます。

定義を明記する

売上:税抜・キャンセル分を除く・入金ベース
集計期間:2023-09-01 〜 2023-09-30(JST)

定義が曖昧な数字は、そのうち誰も信じなくなります
「経理の数字と合わない」という指摘が来たとき、定義の違いであることがほとんどです。

エクスポートを付ける

どんなに作り込んでも、最終的に表計算ソフトで加工したい要望は必ず出ます。
CSV出力を付けておくと、細かい要望への対応が減ります。

まとめ

  • 単独の数字は出さない。前月比・前年同月比・目標比を添える
  • 平均を出すときは中央値も並べる
  • 合計だけでなく内訳を出す(打ち手が決まる粒度まで)
  • 閾値を超えた変化だけ強調する
  • 数字の定義と集計期間を必ず明記する
  • CSV出力を付けておく